住まいの選び方 ― 空き家、賃貸、購入、どれが最適?

移住前の準備

移住後の生活の満足度を大きく左右するのが「住まい」です。田舎の住まい探しには、都会とは異なる選択肢と、それぞれにメリット・デメリットが存在します。自分たちのライフプランや価値観に合った選択をするために、それぞれの特徴をしっかり理解しておきましょう。

全国の自治体が運営する「空き家バンク」は、地域の空き家情報を集約し、利用希望者に紹介する制度です。格安な物件が見つかる可能性があるため、多くの移住希望者が注目しています。

空き家バンク利用のメリット

価格の安さ:驚くほど安価な物件や、無償譲渡の物件が見つかることもあります。

補助金の活用:自治体によっては、空き家の改修費用や家財撤去費用に対する補助金制度を設けている場合があります。

地域との接点:自治体が間に入ることで、家主さんや地域住民との繋がりが生まれやすく、スムーズに地域に溶け込むきっかけになることもあります。

空き家バンク利用のデメリットと注意点

大規模な改修が必要な場合が多い:安さの裏返しで、長年人が住んでおらず、水回りや構造躯体(こうぞうくたい)に大規模な修繕が必要な物件が少なくありません。購入費用は安くても、結果的に改修費用が高額になるケースも。

即入居できない:契約から改修工事を経て、実際に入居できるまでには数ヶ月以上かかることも珍しくありません。

必ず内覧を!:写真だけでは状態を判断できません。必ず現地に足を運び、家の傾きや雨漏りの跡、シロアリ被害の有無などを専門家(地元の工務店など)と一緒に確認することが重要です。

「いきなり家を買うのは不安…」という方に最もおすすめなのが、まずは賃貸で暮らしてみる方法です。

まず賃貸で暮らしてみるメリット

移住のハードルが低い:購入に比べて初期費用を大幅に抑えられます。

「お試し移住」に最適:実際にその土地で暮らしてみて、気候や風土、地域の人間関係などが自分たちに合うかを見極めることができます。「合わない」と感じた場合でも、比較的容易に別の場所へ移ることが可能です。

トラブルのリスクが低い:設備の故障などに対する修繕義務は、基本的に大家さんにあるため、突発的な大きな出費のリスクが少ないです。

まず賃貸で暮らしてみるデメリットと注意点

物件数が少ない:都市部に比べて賃貸物件の絶対数が少なく、希望のエリアや間取りの物件を見つけるのが難しい場合があります。

制約が多い:ペット不可、DIYやリフォームが自由にできないなど、制約が多いのが一般的です。

情報収集の工夫:全国チェーンの不動産情報サイトだけでなく、その地域に根差した地元の不動産会社のウェブサイトをこまめにチェックしたり、直接訪問したりすることが物件を見つけるコツです。

理想のライフスタイルが明確で、その土地に長く住む覚悟が決まっているなら、物件を購入するのも一つの手です。

物件を購入するメリット

自由度の高さ:自分の好きなように間取りを変えたり、理想の庭を造ったりと、自由に家づくりを楽しめます。

資産になる:ローンを完済すれば、住まいは自分の資産となります。

物件を購入するデメリットと注意点

初期費用が高額:当然ながら、多額の資金が必要になります。

失敗した時のリスクが大きい:一度購入すると、賃貸のように簡単には引っ越せません。土地勘のないまま焦って購入を決めてしまい、後悔するケースも。

ハザードマップの確認は必須:その土地の災害リスク(土砂災害、洪水など)をハザードマップで必ず確認しましょう。

周辺環境の入念な調査:日当たりや風通し、近隣の住民の様子、生活道路の状況(冬場の積雪など)も、曜日や時間帯を変えて複数回チェックすることが重要です。

このように、どの選択肢にも一長一短があります。後悔しないための最も確実な方法は、いきなり購入するのではなく、まずは「賃貸」や自治体の「お試し移住制度」などを活用して、最低でも1年、できれば四季を一通り経験してから、その土地が本当に自分たちに合っているかを見極めることです。焦らず、じっくりと自分たちの理想の暮らしの土台となる住まいを選んでいきましょう。

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