移住計画において、住まい探しと並行して、あるいはそれ以上に重要となるのが「仕事の確保」です。収入の基盤がなければ、理想の田舎暮らしも成り立ちません。「移住してから考えよう」という安易な考えは、後悔への最短ルートです。
ここでは、移住後の働き方として考えられる3つの選択肢、「リモートワーク」「地域での転職」「起業」について、それぞれのメリットと準備すべきことを解説します。
現在の仕事を辞めずに移住できるリモートワークは、収入の安定という面で最も安心感のある選択肢です。
リモートワークのメリット
収入とキャリアを維持できる:慣れた仕事と現在の収入を維持したまま、住環境だけを変えることができます。
場所の自由度が高い:会社が許可すれば、日本全国どこでも移住先の候補になり得ます。
移住支援金の対象にも:国の移住支援金制度では、テレワークで移住した場合も対象となるケースがあります。
リモートワークの準備と注意点
会社の許可と就業規則の確認:まず、会社がリモートワークでの移住を許可しているか、就業規則を必ず確認しましょう。口約束ではなく、正式な許可を得ることが重要です。
通信環境の確保は必須:移住先の住まいで、安定した高速インターネット回線(できれば光回線)が利用可能か、契約前に必ず確認が必要です。通信環境が悪いと仕事になりません。
自己管理能力と孤独対策:一人で仕事を進めるための高い自己管理能力が求められます。また、意識的に地域の活動に参加するなどしないと、地域との接点が希薄になり、孤立感を感じやすくなる側面もあります。
移住を機に、心機一転、新しい仕事に挑戦するパターンです。地域に根ざした働き方は、その土地への理解を深める一番の近道になります。
新しい仕事に挑戦するメリット
地域コミュニティに溶け込みやすい:職場が、移住後初めてのコミュニティになることが多いです。仕事を通じて地域の人々と自然に関わることができ、情報や人脈も得やすくなります。
地域貢献を実感できる:地元の産業や企業で働くことは、その地域を支える一員になることであり、大きなやりがいを感じられます。
新しい仕事に挑戦する場合の準備と注意点
収入減の覚悟:多くの場合、都市部に比べて給与水準は下がる傾向にあります。移住前に、想定される収入で生活が成り立つか、リアルな生活費シミュレーションが不可欠です。
求人情報の探し方の工夫:都市部と同じ感覚で求人サイトを探しても、希望の仕事は見つからないかもしれません。ハローワークや自治体の移住相談窓口、地域の情報誌、さらには移住体験などを通じて得られる人づての紹介など、あらゆるアンテナを張って情報を集める必要があります。
求められる人材像を理解する:特に人手不足が深刻な農業、林業、漁業、介護、建設、観光といった分野では求人が見つかりやすい傾向があります。自分のスキルや経験が、その地域でどう活かせるかを考えてみましょう。
自分の夢やアイデアを形にしたい人にとって、起業は魅力的な選択肢です。地域の課題を解決するようなビジネスは、地域からも歓迎されやすいでしょう。
起業のメリット
自分の裁量で仕事ができる:やりたいことを追求でき、成功すれば大きな達成感を得られます。
地域の資源がビジネスチャンスに:豊富な農産物を活かしたカフェや加工品販売、美しい景観を活かしたゲストハウス、古民家を再生したコワーキングスペースなど、地域ならではの資源がビジネスの種になります。
手厚い支援制度:多くの自治体が、移住者の起業に対して補助金や助成金、低金利の融資といった支援制度を設けています。
起業の準備と注意点
綿密な事業計画と十分な自己資金:情熱だけでビジネスは成り立ちません。地域のニーズや市場を徹底的に調査し、収支計画を含めた綿密な事業計画を立てることが成功の鍵です。また、収入が安定するまでの生活費を含め、十分な自己資金を準備しておく必要があります。
地域との協力関係が不可欠:ビジネスを軌道に乗せるには、地域住民の協力や理解が欠かせません。事前に地域のキーパーソンに相談したり、商工会などに加入したりして、良好な関係を築いておくことが重要です。
どの働き方を選ぶにしても、最も重要なのは**「移住する前に仕事の目処を立てておく」**ということです。貯金を切り崩しながら仕事を探す生活は、精神的な焦りを生み、冷静な判断を難しくさせます。
一つの選択肢に固執せず、リモートワークをしながら副業として地域の仕事を手伝ってみるなど、複数の可能性を視野に入れて、柔軟にあなたのキャリアプランを考えていきましょう。