都会での暮らしに慣れていると、交通の便や生活インフラは「あって当たり前」のものとして、あまり意識することがないかもしれません。しかし、田舎暮らしにおいて、この「当たり前」のレベルを事前に確認しておくことは、移住後の生活満足度を保つための生命線とも言えます。
地図上の距離だけを見て「意外と近いな」と判断してしまうのは非常に危険です。実際にその土地で暮らすことをリアルに想像しながら、一つひとつ確認していきましょう。
まず、ほとんどの田舎暮らしにおいて車は単なる移動手段ではなく、生活必需品です。公共交通機関は、電車が1時間に1本、バスは1日数本という地域もザラにあります。
なぜ「一人一台」必要になるのか?
例えば夫婦で移住した場合を考えてみましょう。夫が車で職場に通勤してしまうと、日中、家に残された妻は買い物に行くことも、病院に行くこともできず、完全に孤立してしまいます。子どもがいれば、学校や習い事の送迎も必要です。こうした状況から、田舎では「一家に一台」ではなく「大人一人に一台」がスタンダードになっている地域が少なくありません。
見落としがちな車の維持費
車の購入費用だけでなく、毎年の自動車税、車検代、保険料、そして日々のガソリン代といった維持費も家計にしっかり組み込んでおく必要があります。また、雪国であれば冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ)の購入費や交換費用も必須の出費です。移住してから「思ったよりお金がかかる…」と慌てないよう、事前にシミュレーションしておきましょう。
移住先の候補地が決まったら、地図アプリで距離を調べるだけでなく、必ず実際に自分の足(車)で主要な施設までの道のりを走ってみることが重要です。道が狭くて運転しづらい、坂道が多い、冬は凍結しそう、など、走ってみて初めてわかることがたくさんあります。
【必ず確認すべき施設への距離と時間】
最寄りのスーパー・コンビニ
毎日の食生活に直結します。何時まで開いているか、品揃えはどうか、といった点も生活の質に関わります。
病院・クリニック
かかりつけにしたい内科や小児科はもちろんのこと、最も重要なのが「夜間・休日対応の救急病院」までの距離と時間です。いざという時に、命を守るための重要な情報です。
学校・保育園
子育て世代は、通学路の安全性やスクールバスの有無、送迎にかかる時間を確認しましょう。
役場・郵便局・銀行
各種手続きやお金の管理に必要な施設へのアクセスも確認しておくと安心です。
住まいや土地を契約する前に、生活の快適さを左右する「目に見えないインフラ」の状況も必ず確認しましょう。
□ インターネット環境
リモートワーク希望者にとっては死活問題です。光回線が利用できるエリアか、事前に通信事業者に確認しましょう。
□ ガスの種類
都市ガスか、料金が割高になる傾向のあるプロパンガスか。基本料金や単価も確認できるとベストです。
□ 上下水道
公的な下水道が整備されているか。整備されていない場合は、浄化槽の設置や定期的なメンテナンス費用が自己負担となります。
□ 携帯電話の電波
自分の使っている携帯キャリアの電波が、生活圏内で安定して入るかを確認します。家の中や庭先など、場所によって電波状況が違うこともあります。
□ ゴミの処理方法
指定のゴミ袋は有料か、分別はどれくらい細かいか、収集場所はどこで、何曜日に出せるのか、といったルールは地域によって大きく異なります。
これらの確認作業は、少し面倒に感じるかもしれません。しかし、この一手間をかけることで、移住後の「こんなはずじゃなかった」という後悔を確実に減らすことができます。お試し移住などを活用し、観光気分ではなく「ここで生活するんだ」というリアルな視点を持って、自分たちの目で確かめることが何よりも大切です。