消防団は年齢で不参加。シニア世代の地域との「ちょうどいい距離感」

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はじめに:地域貢献への意欲と、身体的な限界との間で

こんにちは。山陰の小さな村で、穏やかな日々を送っております、タカシです。

これまでの記事で、私たちが自治会活動に積極的に参加し、地域の一員として溶け込む努力をしてきた様子をお話しさせていただきました。田舎で暮らす以上、地域コミュニティとの関わりは避けて通れないものであり、むしろその繋がりこそが、暮らしの豊かさと安心の源泉であると、私たちは考えています。

しかし、その一方で、六十五歳という私たちの年齢は、否応なく「できること」と「できないこと」の間に線を引きます。特に、地域貢献の中でも極めて重要な役割を担う「消防団」。これに対して、私たちは移住当初から、ある種の葛藤を抱えていました。「地域のために何かをしたい」という強い気持ちと、「いざという時に、本当に若い人たちと同じように動けるのだろうか」という体力的な不安。その狭間で揺れていたのです。

結論から申し上げますと、私たちの村の消防団には年齢制限があり、私たちはその対象外となりました。つまり、参加したくてもできなかったのです。今回は、この「消防団への不参加」という事実をきっかけに、私たちシニア世代の移住者が、地域とどのように「ちょうどいい距離感」を築いていくべきか、私なりの考えを率直に述べたいと思います。

「消防団」とは何か?都会人が知らない、その重責

まず、都会で暮らす多くの方々にとって、「消防団」はあまり馴染みのない存在かもしれません。常勤の消防署員とは別に、普段は自らの仕事を持つ地域住民が、火災や自然災害が発生した際に、消防・防災活動を行う非常勤の地方公務員。それが消防団員です。

特に、消防署から遠い私たちの村のような中山間地域では、初期消火活動や住民の避難誘導など、消防団が果たす役割は計り知れません。火災現場に一番最初に駆けつけるのは、間違いなく地元の消防団なのです。その活動は、火事場での消火活動だけにとどまりません。定期的な訓練や、消防ポンプなどの機材点検、そして地域の防災意識を高めるための啓発活動など、その責務は多岐にわたります。

当然、その活動には強靭な体力と、迅速な判断力が求められます。深夜の出動要請、炎天下での訓練、重い機材の運搬。これらは、現役世代の屈強な若者たちだからこそ担える重責です。移住当初、地域の会合でその活動内容を知るにつけ、「自分たちには、これは到底務まらない」と、正直にそう感じたのを覚えています。

「不参加」という現実と、私たちの向き合い方

そんな折、自治会の役員さんから、私たちの村の消防団には入団できる年齢に上限が定められていることを聞かされました。その年齢を、私たちはすでに超えていたのです。その事実を知った時、心の中に二つの相反する感情が生まれたのを、今でもはっきりと覚えています。

一つは、正直なところ「安堵」でした。これで、体力的な不安を抱えながら、無理に参加の是非を悩む必要がなくなった。そのことに、どこかホッとしている自分がいたのです。

しかし、もう一つは、「申し訳なさ」と「焦り」でした。地域の安全という最も重要な役割を、若い世代だけに押し付けてしまって良いのだろうか。消防団に参加しない分、私たちは何か別の形で、この地域に貢献しなければならないのではないか。そんな、ある種の負い目のような感情です。

この「負い目」こそが、私たちがその後、自治会の他の活動に積極的に関わる原動力となりました。消防団という最もハードな役割を担えないからこそ、「自分たちにできることは、何でもやらせていただこう」。そう夫婦で話し合ったのです。

シニア世代だからこそできる、地域との「ちょうどいい関わり方」

消防団への不参加という経験を通して、私たちはシニア世代の移住者にとっての「理想の地域貢献」とは何かを考えるようになりました。それは、若い世代と張り合って同じ土俵で汗を流すことだけではないはずです。

その1:後方支援に徹する

最前線で体を張るのが若い世代の役割だとするならば、私たちの役割は、その彼らが存分に活動できるよう、後方から支援することです。例えば、地域の祭りの準備では、重いテントを立てるのは若い衆に任せ、私たちはお茶の準備をしたり、子供たちの世話をしたりする。消防団の訓練がある日には、妻が集会所で温かい豚汁をこしらえて、皆の帰りを待つ。そんな、ささやかだけれど温かいサポートが、私たちにはできるのです。

その2:平日の「地域の目」となる

消防団員をはじめ、地域の現役世代の多くは、平日の日中は村の外へ仕事に出ています。つまり、平日の村は、私たちのようなリタイア世代と、小さな子供を持つお母さん方が中心になります。この時間帯に、地域の安全を見守る「目」となることも、私たちにできる大切な役割です。毎日の散歩を兼ねて、地域の見回りをしたり、登下校する子供たちに「おかえり」と声をかけたり。こうした何気ない日常の営みが、犯罪の抑止力となり、地域の安心感に繋がると信じています。

その3:これまでの経験と知恵を伝える

私たちは、この村では「一年生」ですが、六十五年間生きてきた人生の先輩ではあります。都会での会社員生活で培った知識や、妻が持つ料理や手仕事の技術。そうしたものを、地域の若い世代に伝えていくことも、私たちにできる貢献かもしれません。実際に、妻が始めた料理教室は、今では地域の女性たちの憩いの場となっています。

まとめ:無理せず、背伸びせず、自分たちらしい貢献を

田舎暮らしは、地域との関わりなしには成り立ちません。しかし、その関わり方は、一つである必要はないのだと、私たちは学びました。若い世代には若い世代の、そして私たちシニア世代にはシニア世代の、それぞれに合った貢献の形があるのです。

大切なのは、できないことに負い目を感じるのではなく、できることを探すこと。そして、無理をせず、背伸びをせず、自分たちの体力と経験値に合った「ちょうどいい距離感」で、地域と関わり続けていくこと。

消防団の制服に身を包み、きびきびと活動する若者たちの姿を見るたび、私たちは心からの敬意と感謝の念を抱きます。そして、思うのです。私たちは、彼らとは違う形で、この愛する村を支えていこう、と。それこそが、私たちシニア移住者が見つけた、誇りある生き方なのです。

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